ネットワークを勉強する上で必ず出てくるのがこのOSI参照モデル。
なかなか聞き慣れない言葉なので、とっつきにくいですがネットワークの基礎を理解するためには実は概要を把握すれば十分です。
この記事ではOSI参照モデルと似ている概念であるTCP/IPの階層モデルについて解説します。
以下のスライドの冒頭部分の解説記事となります。
OSI参照モデルとは?
OSI参照モデルとは何でしょうか?まずはWikipediaのリード文を見てみます。
OSI参照モデル(OSIさんしょうモデル、英: OSI reference model)は、コンピュータネットワークで利用されている多数のプロトコルについて、それぞれの役割を分類し、明確化するためのモデルである[1]。国際標準化機構(ISO)によって策定された。OSI基本参照モデル、OSIモデルなどとも呼ばれ、通信機能(通信プロトコル)を7つの階層に分けて定義している。
https://ja.wikipedia.org/wiki/OSI%E5%8F%82%E7%85%A7%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB
つまり、国際標準機構によって策定されたモデルのことで、ネットワークで利用されているプロトコルについて、役割ごとに分類したものです。OSI基本参照モデルとも呼ばれるようです。
具体的にはOSI参照モデルは7階層に分けられており、以下のようになります。
第7層 | アプリケーション層 |
第6層 | プレゼンテーション層 |
第5層 | セッション層 |
第4層 | トランスポート層 |
第3層 | ネットワーク層 |
第2層 | データリンク層 |
第1層 | 物理層 |
それぞれ解説していきます。
Layer1:物理層
その名の通り、物理的な通信の取り決めです。ケーブルの種類(ツイストペアケーブルとかそういうの)やコネクタの種類(一般的なLANケーブルはRJ45)とかを決めています。
Layer2:データリンク層
いわゆるMACアドレスで通信する世界の話です。家庭用にあるようなスイッチングハブはだいたいこのL2での通信を担っています。
LANケーブルを使って接続したときにLANポートが光ることをリンクアップといいますが、これはケーブルを通してL2で対向の機器と通信が可能になったことを指します。
逆に言えばリンクアップしないというのは、自分かもしくは対向のどちらかに何らかの不具合があるということですね。(単に電源が落ちているだけかもしれませんが)
無線LANなんかもL2の話題です。
Layer3:ネットワーク層
ネットワーク層はずばり、IPアドレスを用いて通信する層です。この仕組のおかげでいくつものネットワーク機器を経由してインターネットの世界と実際に通信することができます。
機器と機器がどのような経路をたどって通信すべきかを決める、経路制御(ルーティング)を取り決めているのがこの層です。
L3が理解できると一気にネットワークについてわかった気になれます。はじめはここを中心に学習するのがオススメです。
Layer4〜Layer7:トランスポート層、セッション層、プレゼンテーション層、アプリケーション層
L4〜L7はネットワーク自体というよりは、付随するプロトコルの仕組みの話が主です。
L4はTCP通信での通信の信頼性のお話ですが、L5〜L7は一旦分けて理解しなくても良いかと思います。
ちなみに各レイヤーで通信をまとめて送受信先を振り分ける機器のことをスイッチと呼びますが、L2SW(Layer 2 Switch)がスイッチングハブ、L3SW(Layer 3 Switch)がルーター、L4-7SW(Layer 4-7 Switch)のことをLB(Load Blancer)と呼びます。
ネットワークスペシャリスト試験の頻出はL2〜L3
OSI参照モデルでは各レイヤーの仕組みをそれぞれ理解する必要がありますが、ネットワークの分野を学習する際にはまずL2とL3の動作を理解することが重要です。なぜなら、L4〜L7は実際のアプリケーションが担っている事が多く、プロトコルごとにどういった動作となるかを学習するほうが理解しやすいからです。
筆者はネットワークスペシャリストを保有していますが、L2/L3の理解をしたあとは、各プロトコルを個別に理解していきました。
TCP/IPによる通信
OSI参照モデルと同時に理解したほうが良いのが、TCP/IPによる通信の話です。現在のネットワークはこのTCP/IPによる通信で成り立っています。(過去にはP2Pやトークンリング方式があった)
TCPとIP
一言でいうと、IPアドレスとポート番号を使って通信をする方式です。TCPがポートに関する仕組み、IPがアドレスに関する仕組みを担っています。
- TCP – Transmission Control Protocol
TCP/UDPのポート番号を用いて通信相手とやり取りするプロトコル。TCPはコネクション型で送ったパケットがちゃんと相手に届くことが保証される通信方式で、UDPはコネクションレス型。TCPは3 Way Handshakeという方法を用いて相手とコネクションを確立する。 - IP – Internet Protocol
そもそも通信相手までどうやってたどり着くのかの取り決め。ルーティングの仕組みやネットワークの区分けの仕方を定義している。
プロトコルとは
ここまでで何回か出てきたプロトコルという言葉ですが、これは相手との取り決めのことです。
ITの世界でプロトコルと言ったらTCPのポート番号とセットで出てくるプロトコルのことを指すことが多いです。(http/dns/ntp/nfs/ftp/sshなど)
通信相手に「80番で通信したい!」と伝えれば、相手は「httpで通信したいのね、OK」と理解してくれます。
これらの取り決めがどこに書いてあるのかというと、RFC(Request For Comments)という文書です。
これは一般にも公開されていて誰でも閲覧することができます。
例えばhttpに関するRFCがこちら(日本語訳版)です。
OSI参照モデルとTCP/IPの階層モデル
TCP/IPにも階層モデルが存在します。
TCP/IPの階層モデルは、OSIの階層モデルと紐付いて理解するとイメージしやすいです。
まとめ:ネットワークの学習基礎段階ではL2〜L3とプロトコルが重要
本記事ではOSI参照モデルとTCP/IPの仕組みについて概要を解説しました。
ネットワークスペシャリストの対策を行っている方も、ネットワークについての基礎知識を単に身につけたい方も基本はL2とL3をまずは抑えることが最も大切です。
WEBページが表示されるまでのネットワークの基礎知識についてはこちらの記事でまとめています。
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